以前板倉さんのところで紹介されていた「和風Wizardry純情派」(id:WizDiary)ですが、
非常に面白かったので寄付の意味もこめて本を買いました。
個人出版の本を買うのは初めてなのですが、とても美しい装丁や表紙絵に驚いてしまいました。


内容に関しては他に触れているところがたくさんあると思うので解説はそちらに譲るとして、
この作品は内容以外に、はてな上で( blog で、と読み替えても問題ないかな )書かれたところが興味深いところです。


というのも、今作は細かく分けられた短い節ごとに語り手が入れ替わり、それぞれの視点で物語を進める
のですが、それぞれの節が登場する人物ごとにカテゴリ分けされており、ある登場人物の視点だけで物語
をよむ、といったことが簡単にできるようになっています。


普通の小説であればあまり意味のない行為ですが、群像劇である今作では各登場人物それぞれを
取り出しても一つの作品として読めるものとなっていて、何度も楽しめました。


読み手が苦労することなくこの手の作業ができるのは はてな のシステムを上手く活かして作られた
今作ならでは。
web 上の小説は html なり生テキストなりで公開されるのが( 私の知る範囲では )多いのですが *1
web( というかデジタルで配信される )小説ならではの面白さでした。


内容に関しても文句なく面白いので Wizardry に興味ある人もない人もぜひご一読ください。
Wizardry を知らなくても楽しめます。
( 個人的には Wizardry というのをタイトルから外してしまっても良かったと思います。 Wizardry の固有名詞は結局一つも出てきませんし *2 )

*1:えてしてそういう小説はwebよりも印刷のほうがよみやすい

*2:明らかな使い方としては、です